――共に戦ってほしい
その言葉を、その声を覚えている。
もう随分昔のことだ。
その頃、この国は多くの戦によって千々に乱れ、悲しみの声が満ちていた。
なればこそ。
――この戦の世を終わらせよう、そのためにお前の力が必要だ
その声に応え、日光一文字は守っていた地、日光三山を離れ、世に出ることを決めたのだ。
激しい戦いの日々。
あの言葉の主はこの世を去り、仕える家も代わり……だが、泰平の世は訪れた。
心にはひとつの疑問が宿る。
――果たして、力が平和を導くことなどあるのだろうか?
たしかに、あの戦国の時代、多くのものたちが平和を求め戦った。
しかし、強すぎる力があったからこそ起きた争いも数知れない。
それを見て、こう思わずにはいられなかった。
――力があるからこそ、人は争うのではないか 
「強すぎる力」そのものとも言える巫剣・日光一文字にとって、それはあまりに切実な疑問だった。
それからどれほどの月日が経っただろう。
泰平の世は去り、再び争乱があり、それを乗り越えて新時代が来た。
今、この時代に新たな希望が満ちていることは間違いない。
それでも、どうしても思ってしまう。
所詮この平和など、再びはじまる戦いを前にした、束の間のまどろみに過ぎないのだろう……と。