初夏の日差しを避けるように砂ずりの藤の下に寝そべっている女性がいる。金地螺鈿毛抜形太刀だ。
ここは春日神社。朱色の柱と青空の対比が目に眩しい、由緒ある神社である。
うつらうつらとしている金地螺鈿、そこへ思いもかけない来訪者があった。

「随分と気の抜けた顔を晒しておるのう」
「へっ? ……あ、まるっち! なんであんたがここに……ってか人の昼寝の覗き見すんなし」

 不意に声をかけてきたのは平家の至宝と謳われし巫剣、小烏丸その人だった。
 
「久しいな金。こうして会うのはいつぶりか」
「金言うな。らでぃーちゃんだし」
「相変わらずじゃのう。御華見衆の任務でこの近くへ来ていたのじゃが」
「御華見衆? あ~。わーし、そういうの疎いから~」
「知らぬふりとは釣れないのう。この春日神社にお主がいると耳にしてな、こうして様子を見に来たわけじゃ。しかしその様子じゃと相当暇を持て余しておるようじゃな」
「別にそんなこと……ってまさか、わーしをその御華見衆ってのに誘いに来たの? 言っとくけどやだからね。うにゃ~」

 金地螺鈿は猫のように伸びをするとようやくその場から立ち上がり、小烏丸などおかまいなしで歩き出した。小烏丸は困ったように笑い、後に続く。