その日、ある情報が御華見衆へと寄せられた。7月の暑い午後のことだった。
内容は「刀を持った女が浅草の一角で暴れまわっている」というものだ。
廃刀令のご時世、しかも女とくれば巫剣である可能性が高い。
現場へは1番近い位置にいた俺が真っ先に遣わされた。
しかし、巫剣が大暴れとは穏やかじゃない。禍憑の間違いでは? いや、酒乱の巫剣がやらかしたという可能性もなくはないか。
なんて考えながら現場へ赴くと、確かにあちこちの家屋がひどい有様となっていた。
手始めに近くで怯えていた子供らを捕まえて聞き込みをしてみる。

「よかった。誰も怪我はしてないみたいだな。誰か犯人の顔を見たかい?」

すると子供らは怯えたような顔で距離を取り、俺の顔を指差してきた。

「うん? 俺の顔に何か変な物でもついてる? 目が2つに口が1つ。一般的な物しかついてないはずだけど」

首を傾げていると、そこへ畳屋の店主が割って入ってきた。

「このヤロウ! よくもまあノコノコと戻ってこれたな! うちの店をめちゃくちゃにしやがってッ! どう落とし前つけてくれるんでい!」
「ええッ!?」

どうやら犯人は俺、長曾祢虎徹だったらしい。

「いやいや待て! そんなバカな! 人違いだ! 俺はたった今ここへ来たばかり……」

弁解しかけたその時、通りの遥か向こうで噴煙が上がった。
噴煙の方向から逃げて来た尻っぱしょりの男がみんなに知らせる。

「た、大変だ! さっきのヤツが浅草寺の近くでまたバケモン相手に暴れてるぞ……!」
「え? でもそいつならここに……」