「オーゥ、アナタ!? ジャッパーンノニンジャデスネ?」

 燭台切光忠は、ただただ動揺していた。
 街を歩いていたら、異国から来たとおぼしき壮年の男性に話しかけられた。
 ここまでは、近頃珍しいというほどのことでもない。 しかし、『忍者』であると指摘されるとなると話は違う。
 
「い、いえ……! ちがいます!」

 燭台切光忠は否定した。忍者とは忍ぶもの、当然である。
(なんで分かったのでしょう!?)
 動揺しつつも、燭台切光忠は持ち前の観察眼を働かせる。
 かなり仕立てのよい服を着ているが、着こなしは洒落ているとは言いがたい。髪などはボサボサである。しかし、その瞳には深い知性をたたえている。
(学者さん……ですね。近くに学問所があったはずです) 
 その洞察は、すぐに本人の発言によって裏付けられた。
 
「ワターシ、ジャッパーンノケンキュシテルネ」

 (なるほど……しかし、知っているだけならともかく……なぜわたしが忍者だと?)
 
「アナタ、『サムライソード』モッテマスネ! ツマリ、ニンジャ!」
「おかしいですよね! 普通、刀を持っているだけだったら侍だと思いますよね!?」
「サムライ……? ソレ、ワカラナーイ」
「さっき『サムライソード』って言ってたじゃないですか!」
「オーウ、『サムライソード』モツノニンジャ、キキマシタネ」

(なんだか適当なことを教えた人がいるみたいですね……)

「と、とにかくわたしは忍者じゃありません~~!」